中国の長くて短い話(3)〜涼子さんのおさげ〜
涼子さんは、
某日中交流協会からの派遣で2年間の留学にきていて
私が初めてあった時は、あと6ヶ月を残すだけの時だった。
色が白くて背が高く、
1年半も切っていないという黒い髪を
二つにお下げにして、白いシャツと黒いズボン、
外見からは中国人と区別がつかない。
留学生寮にはいつも中国人学生が自由に涼子さんを訪ねに来ていた。
部族間の争いがときおり勃発する食堂でも
各国の人たちとなめらかな中国語で交流していた涼子さん。
すくなくとも5月4日まではこうやって留学生寮は平穏だったそうだ。
涼子さんとはその後、
私が北京に戻ってきて、台湾、香港と長い根無し草生活を
送っていたときも、葉書のやり取りがあった。
最後にもらった手紙に、新聞の切抜きがあって
そこに涼子さんが地元警察で初の中国語専門の警察官になったという
記事が書かれていた。
中国大好きだった涼子さん
戻った日本で中国人の犯罪者を取り締まる立場になって
複雑な心境なんじゃないかなと想像した。
1989年5月4日のあの時
涼子さんは清華大学にいた。
マグニチュード9.0の影響を受けた地盤のように中国全土が動いたけど
涼子さん自身、そのとき悲しいお別れがあったのだと
あとになって話してくれた。
いまはもう交流がなくなってしまったけれど
涼子さんはいつまでも私のあこがれの人。
■■お薦め映画■■
映画『天安門、恋人たち』
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD12905/story.html
当時のせつなさを体験したい方にお薦めの映画です(commented by dubian)