中国の長くて短い話(10)〜大陸横断の始まり〜
1992年の6月中旬
当時、台湾にいた私は
アルバイトで稼いだ全財産を米ドルに換えて
空路でソウルに入り、
それから仁川から船で天津へ
天津からバスで清華大学へ戻った。
あるミッションを遂行するために。
例年、留学生の多くは夏休みを利用して帰国する人も多かったが
奨学金を減額、あるいは停止された学生もいて
激暑の北京で居残るひともいた。
(国からの奨学金は止められても清華大学からの奨学金は
引き続き配給されていた。)
夏休み前の試験期間に突入していた校内は
ひっそりしていた。
そのとき私は清華の学生ではなかったけれど
試験の終了を待って、陸路ソフィアを目指すことになっていた。