セカンドオピニオン



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病院へいった。

先週検査したCTとPETの結果報告(転移の有無)と

今後の治療についての細かな説明があるということだった。



朝起きて、カーテンを開けて窓を開けようとしたら

カラスが至近距離まで寄ってきて、窓に向かって糞をした。

階段を下りたら、こうもりの赤ちゃんが床で死んでいた。

ナンマイダと唱えながらティシュでつつんで、

近所の小川で水葬した。

もどってきたら、今度は玄関の前に

黒いネコ(鈴木さんちのネコ)がいてじっと座って動こうとしない。



いつもは縁起を担いだりしない父さえも

『今日はついていこうか』と言ってきた。

心配しないで、おとうさん。

地獄の釜へあなたをつれていくことはできない。



縁起の悪そうなことが立て続けに起きたけど

通り魔に刺されるとかじゃなくてよかったと思うことにした。




受付を済ませ、

あられちゃんのような顔をした看護婦さんの

下手な採血で紫色になった左腕を抱えながら

名前を呼ばれるのをひたすらまった。

予定時間の3時間後、やっと入室の許可がおりる。



『結果からいうと転移はありませんでした。

でも、あなたの場合、今後再発する可能性が高いです。

標準治療はあなたの場合、あてはまらないですね。

えーと、ここまでで何か質問は?』



インフォームドコンセント

医療側からの説明をひとつひとつ患者が理解した上で

同意しながら進めるやり方。


先生の後ろに看護婦さんが2人立っていて

先生の説明にいちいちうなずいている。

看護婦の一人は採血が下手なあられちゃんだ。

私の後ろにもう一人看護婦さんが座っていて、先生と私のやりとりの

議事録を取っている。

看護婦さんたちは他のドクターからもお呼びがかかったりして

なんだかとてもあわただしい。

いつものことだけど野戦病院のよう。



私『標準治療ができないってどういうことですか』

先生『手術をしてもしなくても予後は同じかもしれません。する人もいれば

しない人もいる。私の意見としてはした方がいいと思いますよ。どうしますか。

ここまで質問は?』


私『少し時間を割いて説明を受けたいんですが..』

先生『今、なんでも聞いてください。私が答えます』


診察室の前で80人くらいの患者さんが待っている。

みんな待ちくたびれてイライラしながら。


病院の治療の目標は延命だ。効率的な治療。

先生の時間は一秒だって無駄にできない。

私の目標は?頭の中がぐるぐる回る。

ドクターSは油がのった50代。

先月、外科部長から臨床部長に昇進した。


先生の後に立っていたあられちゃんが腕時計を見る。

もう入室して10分はたった。


セカンドオピニオンを聞いてみたい旨を伝え

紹介状を書いてもらうことにした。



(以下は、素人の私の考えです)

ガンは3つの時期がある( )内は医療現場の治療目的

初期癌  (治癒) 

中期癌  (延命か生活の質か) 

末期癌  (痛みを止めて天命を待つ)通常長くても6ヶ月以内

初期治療の目的は治癒、末期は緩和治療。

中期治療は医者の立場であれば延命。

患者の立場であれば、延命をとるか生活の質を取るかで迷うところ。



圧倒的に医療従事者の数が足りていない。

20年後の日本、がん患者が今の倍になる可能性も秘めているこのごろ。

まじめに対策を立てておかないと、日本はほんとうに大変なことになると思う。

老人医療にしても癌治療にしても延命が一番の幸せなんだろうか。

使命感あふれる医者は考える時間がない。患者の意見を聞く時間がない。

患者は死んでく。

医療現場はきっと薬会社にコントロールされているんだ。


映画『カッコーの巣の上で』でもTUTAYAで借りてみるとするかな。



(写真は“しゃべるねこしおちゃん”)