消しゴムのくず


『残り時間はあと10分です』
完了時間を伝える試験官の声。


急に気温が下がって寒かった雨の日曜日、
市が募集していた短期アルバイトの採用試験にいってみた。


応募に当たっては特に制限はなく?作文?面接に通れば採用だ。
あまり深く考えないで試験会場にいた。


まわりは黒のスーツをきた学生っぽい若者ばかり。
気がついた時にはおそかった...
ヨガパンツにコットンのパンジャビスーツ、首には真冬のマフラーをしているような人はいなかった。私のほかには。



試験管が冒頭のアナウンスをした時、
1400字の作文はすでに書き終わっていた。
テーマは『志望動機とあなたのできること』


ちょっと考えれば絶対聞かれる内容だとわかるはずなのに。


準備していかなかった私が書いた内容は、
ブログで自由気ままに書くことが常になってしまっていたということもあるけれど、
だれがどう読んでも『震災復興にむけてのにっぽん』という壮大なテーマになっていた。
たぶん、昨夜遅くまで見ていた、孫正義の「震災復興に向けて」の講演動画のせいだ。

消して書き直すにはもう時間がない。


覚悟を決めて、机の上に散らかった消しゴムのかすを手で机の下に払い、
回答用紙と問題用紙をトントンとそろえて
裏返して机の上にそろえたら...問題用紙の裏にこの一文が書かれていた。



“消しゴムのくずは、机の上に一ヶ所にかためておいてください”


今やっと私は日本に戻ってきたことを痛感しています。
たかがカス、されどカス。


追記:
こっそり隣の人をみたら、消しゴムのかすをかためて丸めて長くしていた(合格)