夏の思い出



雨が振らない限り早朝走っている。

中学校の部活のランニングコース。

懐かしい中学校の校舎もそのままで

しばし昔のことを思い出す。



中学3年の夏休みのある日。

夏休みの宿題のひとつにプールに20回通うという

紫外線を気にする現代教育では考えられないような必須科目があった。

それをクリアすべくたくさんの生徒がプールに通った。

男子の時間、女子の時間にだいたいわけれれていたと思う。



ある日、女子の時間に行ってみると

まだたくさんの男子学生がまだプールの中に入って

みんなで水を掛け合って遊んでいた。

よくみると掛け合っているのではなく、

プールから水をかき出しているのだとわかった。

なかには野球部のユニフォームのままで

プールに入って必死に水をかき出している人もいた。

尋常じゃない状態だった。



生徒が一人、排水溝に足を吸い取られて

プールの下に沈んでいると誰かがいった。



消防隊の人には連絡したらしいがまだ来ていない

数人の先生がプールの真ん中で、もぐったりでたりしている



私もプールに入って必死にかき出した。

足が震えた。怖くて涙がでた。




プールの水位が腰の位置になったとき

消防隊員が到着して

水位がひざ小僧のあたりになったとき

ぐったりした少年が出てきた。

太ももから下の足が紫色だった。



本当の話かわからないけど

少年のお兄さんも幼年期に水死していたということだ



後日、学校でひらかれた全校集会。

話の内容はわすれたけど、校長先生が感動的な哀悼の話をして

全校生徒が涙した。



その校長先生が昨年、割腹自殺をした。

呆けてしまっていたらしい。


そんな、中学校の夏の思い出。